海運モーダルシフトで、新規事業を推進していく。
登場人物(2023年5月取材当時)
株式会社山立水産運輸 代表取締役 立川 明彦 様
UDトラックス株式会社 神奈川中央営業部 カスタマーアドバイザー 志村 英昭
山立水産運輸・代表取締役の立川様。活魚輸送会社を立ち上げて、今年で28年目。横須賀地区貨物自動車協同組合の代表理事も兼任されており、同社の新規事業を成功に導くため、フェリー輸送で取り組む物流改革を推進されている。
カスタマーアドバイザー(CA)の志村。山立水産運輸様とは、13年目のお付き合いになる。新規事業の立ち上げに関しては、UDトラックス・トラクター車両9台の導入実績や連結検討書類作成のアフターフォローなど、社長の立川様とは、強い信頼関係で結ばれている。
日本国内のみならず、韓国・中国への活魚輸送を手掛け、業界のパイオニアとして名高い、神奈川県三浦市の株式会社山立水産運輸様。厳格な品質管理と万全の輸送体制で、日本の海の幸を新鮮直送するサービスの提供に強みを発揮されています。UDトラックスのトラクターを数多く導入いただいている理由について、当社の志村が、社長の立川様にお伺いしました。
鮮魚仲買人から一転して起業。海外出荷まで手掛ける先駆者
(志村) 御社では活魚運搬車による、生きたままの魚介類輸送に強みを持たれていますが、まずはその創業について、お話をお聞かせください。
(立川)もともと私は鮮魚の仲買人をしており、会社設立前は活魚輸送を業者に依頼していました。ある時期から「より鮮度の質を向上させるにはどうすればよいか」を考え、結果、自分で運んでみようと思い立ち、中型トラック1台から輸送を始めたのがきっかけです。当初は仲買人をしながらでしたが、数年経ってトラックが6台ぐらいに増え、水産輸送事業を本格化したのが創業の経緯です。
(志村)扱っている魚介類の種類はどのようなものでしょうか。また、輸送範囲はどこまででしょうか。
(立川)現在、売上の6割を活魚が占めています。主にフェリーを使い、四国や九州への往復輸送だけでなく、北上するケースもあります。北海道各地で蟹やホタテを積んだあと、フェリーで、舞鶴・名古屋・北九州へと移動し、さらに博多港から海を渡って韓国や中国まで走り、ヒラメなどを積んで戻ってきます。一度出発すると、一週間は帰らない時もありますね。活魚輸送に関して、安全・確実に運ぶノウハウを蓄積しているのが当社の大きな強みです。
活魚輸送から次のステージへ。新規事業への新たなシナリオ
(志村)近年、御社で始められた新規事業の案件についてお聞きしたいのですが。
(立川)私は数年前から、横須賀地区貨物自動車協同組合の代表理事をしています。この協同組合は、トラック運送事業の社会・経済的な活動を一層高める業務を行い、組合員の相互扶助の必要性を踏まえ、諸先輩方が設立されました。以前から、横須賀市と協同組合とで協力して、フェリー就航の誘致をしていました。2021年に「東京九州フェリー」横須賀〜新門司の航路が決まり、新規事業として海運モーダルシフトを活用したフェリー輸送の業務を開始。1社だけが取り仕切るのではなく、組合員の有志で別会社として横須賀ロジスティクスホールディングスを立ち上げました。現在、横須賀市の発展と経済成長の牽引役として期待されています。
(志村)その海運モーダルシフトについて、もう少し詳しくお聞かせください。
(立川)当社活魚輸送のフェリー便は、ドライバーも一緒に乗船する有人航送ですが、この新会社で立ち上げた事業では、フェリーに乗り込んだらシャーシを一旦切り離し、新門司に着くと協力会社のトラクターが再度牽引して目的地まで積荷を運ぶ共同輸送の形式をとっています。現在は九州だけでなく、北海道や新潟にもフェリーを使っての運用を展開しています。積荷の種類は、九州へは日用品雑貨、北海道からは農作物、新潟からは菓子類を大量に一括輸送しています。「海のバイパス」と呼ばれるフェリー便を使う海陸一貫輸送は、当社にとっても欠かせない輸送手段のひとつになっています。
活魚運搬車の水槽部分は、長年の知見により改良された様々な新装備が盛り込まれ、活魚運搬車のスタンダードになっている。ドライバーは魚介類の積み込みの際に自ら魚を選別するため、魚の目利き役も兼ねている。
操縦負担の軽減と高い安定性、UDアクティブステアリング
(志村)新規事業で使っていただいている、弊社のQuon(クオン)のトラクター車両について、特にUDアクティブステアリング搭載車のご評価はいかがでしょうか。
(立川)長距離輸送の際には、やはり高速道路を使う場合が多いのですが、システム搭載車だといわゆる当て舵操作が不要です。ドライバーは、走行中の外乱(轍から来る振動や横風の影響)を見越した操作が常に求められますが、これが疲労蓄積の要因になります。搭載したシステムが外乱を判断し、常に平穏な運転環境に保ってくれるのはありがたいですね。加えて、狭いヤードなどでの荷降ろしや積込みなど、ホーム付けの際にはバックや右左折で接車することが多く、切り返し時にはかなりステアリングを旋回します。その時に、手を離せばすぐに自動で元の位置にまっすぐ戻るステアリングが凄いですね。当社には2人の女性ドライバーがいますが、彼女らでも運転しやすいこの機能は感動的です。
(志村)2021年、UDアクティブステアリング発表直後のタイミングで、前述の協同組合様の会議室をお借りし、会員の方々をお呼びして説明会を開催させていただきました。各運送事業者の皆さまに、いち早く新たな価値を実感していただく機会を得られ、またその価値をご理解いただきまして、大変嬉しく思います。
満載状態のトラクターをバックさせる操作も、ラクに実行できるようサポートされており、ステアリングが自動的にニュートラル位置へ戻るUDアクティブステアリング搭載車。操作が難しいとされるバック操作でさえ、腕が疲れてコースを外れてしまう心配も少ない。
アップタイムを確実にサポート。アフターフォローへの信頼感
(志村)弊社のアフターフォロー全般についてのご評価はいかがでしょうか。
(立川)新規事業で使用しているトラクター9台はすべてUD車両なのですが、UDトラックスさんに整備を依頼すると、車両のピックアップから修理まで、どれもが早く対応してもらえるのが非常に助かっています。輸入車トラクターの車検・点検・修理までも快く引き受けてもらい、サービス工場を含めて、カスタマーセンターのスタッフ一同が全力で取り組んでいただいているのがよくわかります。加えて、トラクターにはそれぞれ連結できる型式車両が決まっており、志村さんには増車や減車の際の陸運局での追加記載など、面倒な連結検討書の作成についてもサポートいただいています。一度いい関係ができると、あとはサービス工場が安心かつ確実な運行に繋げてくれるのがとても嬉しいですね。
(志村)アフターサービス体制を含め、弊社を高く評価していただきありがとうございます。当社はアップタイム(車両稼働率)をサポートし、お客様のビジネスの成功に向けてのお手伝いをするのが使命ですので、スピーディーで確実なサポートを心掛けています。お客様に信頼され続けるよう、サービス工場と連携し全力で努めてまいります。
2024年問題の対応策もUDトラックスが全力支援
(志村)最後になりますが、立川社長が抱えられている2024年問題の対応策や、これからの展望をお聞かせ願いたいのですが。
(立川)まずは、労働時間の上限規制を見据えて、ドライバーの給与体系を時間給で支払うようにしましたね。現在の当社の運行ルートは、すべて私自らが走って運転時間を計算してから決めています。この区間では一般道でもよいけれど、ドライバーの時給を計算したら、この区間は高速道路を走った方がいいだとか。そういった工夫を絶えずしており、ドライバーの拘束時間を少しでも減らす努力をしています。フェリーの乗船時間はドライバーの休息時間として取り扱えるため、その点でもフェリー便での海運モーダルシフトは活用できています。より積極的にフェリー便を扱うことが、物流業界全体の効率化にも繋がると考えています。
(志村)わかりました。これからも山立水産運輸様のお役に立つ情報を提供し、有意義な提案を的確にご用意し、2024年問題をはじめとする、様々な経営課題解決のためのお手伝いができましたら幸いです。立川様、本日は誠にありがとうございました。
株式会社山立水産運輸
三浦市にある同社は、土地柄、積荷の大半を水産関係が占める。得意とするのが、魚介類を生きたまま運ぶ活魚輸送。設立以来、全国的にも珍しかった水槽付の活魚運搬車をいち早く導入し、活魚輸送の先駆者として創業してきた。水産輸送事業の安定化を図り、新鮮な海の幸を日本や海外へスピーディーかつ安全に届けている。
神奈川県三浦市初声町下宮田151番地5(営業所)