過去5年で業務量が増えたドライバーが約4割 ドライバー不足解消のためにも誰でも運転しやすいトラックが必要

~UDトラックスがドライバーを対象に業界の働き方に関する意識調査を実施~
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UDトラックス株式会社(本社:埼玉県上尾市、代表取締役社長:丸山浩二)は、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって生じる様々な問題を浮き彫りにするべく、トラック業界の働き方に関して、全国の物流会社のドライバー400名を対象にインターネット調査を実施しました。
調査結果では、残り約1年に迫った2023年現在でも働き方の改善を実感しているドライバーが少なく、全体として人手不足を実感している人が多い結果が明らかになりました。また、現状の人手不足や労働環境の改善に向けた対策についても十分ではなく、今後の物流業界にとって取り組むべき課題が浮き彫りになりました。

 

調査結果からわかったこと

  1. 2024年問題に対する認知は高い 「2024年問題」を認知している割合は8割を超える中、残業規制を懸念する人が約半数いる結果となり、理由として「給与が下がること」「無理なスケジュールを要求されること」等が上位に挙がり、労働環境の他、待遇面、荷主との関係性是正が必要。
  2. ドライバーの労働環境は改善されていない 約6割のドライバーは働き方が5年前と比べて改善されていないと感じている。また、過去5年で業務量が増えたと感じている人も4割いる結果となり、働き方の改善は十分ではないことがわかる。今までと同じ業務量をこなすためには「運送業界への人手を増やす」「荷待ち時間を減らす」「トラックの稼働率を上げる」が上位に。 
  3. 1日平均2.1時間の荷待ちにストレス ドライバーの荷待ちの平均時間は1日あたり平均2.1時間。荷待ちの時間にストレスを感じている人が約4人中3人いる結果となり、ドライバーの働き方や残業規制対策において心身共に取り組むべき課題であることがわかる。
  4. ドライバーは現在の1.13倍必要 ドライバーの約8割が人手不足を実感している。物流事業者の行っている人手不足対策について十分だと感じているドライバーは僅か3%弱に留まり、今後必要だと考えるドライバー数は推計24万4,400人と、現在の1.13倍のドライバーが必要。
  5. 誰でも運転しやすいトラック/トラクターが必要 運送業界で仕事を始めた際にハードルが高いと感じたドライバーは約6割。働く環境の改善を、運転するトラック自体にも求めていることが多いことが明らかになった。また、7割近くが自分が不慣れなトラック/トラクターを運転することに不安を感じ、85%のドライバーが誰でも運転しやすいトラック/トラクターが必要だと感じている。


調査結果の詳細
2024年問題に対するドライバーの捉え方は二分されており、給与面や自身の業務への影響からネガティブに捉えている人が多い
「2024年問題」という言葉が何を指すか知っているか尋ねたところ、83.8%のドライバーが知っていると回答し、47%の約半数が内容まで理解している結果に。残業規制に対する捉え方に関しては47.1%の人がポジティブに捉え、反対に53.0%の人がネガティブに捉えていることがわかりました。

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ネガティブに捉えている人の懸念事項トップ3は「給与が下がること(75.5%)」「運送業界の売上・利益減少40.1%)」「無理なスケジュールを要求されること35.8%)」となり、給与面の他に自身の業務への影響についても不安があることがわかりました。

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ドライバーの労働環境は5年前から改善されていると感じている人が半数を割り、逆に業務量が増えたと感じている人が4割強

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5年前に比べてドライバーの働き方が改善しているか尋ねたところ、58.8%のドライバーが感じないと回答し、この5年で業務量が増えたと感じている人が42.8%いることが明らかになりました。ドライバーに先行して、一般の大企業では2019年4月より時間外労働時間の上限規制が行われており、運送業界は5年の猶予があったにも関わらず4割以上のドライバーにとって状況が悪化している結果となりました。

業務の効率化の必要性を感じている人が約8割。必要な対策トップ3は「人手不足解消」「荷待ち時間の削減」「トラックの稼働率を上げる」
働き方改革関連法適用に伴い、今の業務を効率化させる必要があると答えた人が78.6%いることが判明。

 

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必要な対策として「運送業界への新規参入者(人手)を増やす(60.0%)」「荷待ちの時間を減らす56.8%)」「トラックの稼働率を上げる(27.8%)」が上位を占め る結果となり ました。「人手不足」 と 「 荷待ち問題 」が複合的に解決することで、トラックの稼働率向上につながることから、業務の効率化に向けて多方面からの対策が必要であることがわかりました。

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ドライバーの荷待ち時間は平均2.1時間。4人中3人が荷待ち時間にストレスを感じている
1日の業務中に荷待ちの時間がどの程度生じているか尋ねたところ、平均2.1時間という結果になりました。中には10時間以上と回答したドライバーも1.5%存在し、荷待ち時間をストレスに感じている人は 74.5 %と、ドライバーにとって荷待ち時間は精神的にも労働環境改善のためにも解決していくべき課題だということがわかります。

 

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人手不足を感じているドライバーは全体の約8割。人手不足の要因は「給与」「高年齢化」「長時間労働」となり、新規参入者が目指しにくい労働環境になっている
ドライバー自身が人手不足を感じている割合は79.8%。
要因として上位に挙がってきたのは「給与の低さ(73.4%)」「高年齢化62.4%)」「長時間労働56.1%)」。高年齢化も伴い、今後既存のドライバーが減少していく中、待遇面や労働環境の改善が新規参入者の増加に寄与すると考えていることがわかります。

 

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人手不足対策を行っていると感じているドライバーが6割強いるのに対し、十分だと考えているドライバーはわずか2.8%。推計24.44万人の追加のドライバーが必要
勤め先の企業が人手不足 対策を行っているか尋ねたところ、60.2%のドライバーが対策をしていると回答した一方、十分だと考えているドライバーは2.8%に留まる結果に。

 

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人手不足を解消するために新たに必要な人数については平均67.2人となり、企業の従業員数を実数値に置き換えると推計 24.44万人必要 だという結果になりました。企業単体で対策を実施することで十分な結果 を得られる考えるドライバーが少ないことから、運送業界の人手不足対策には業界全体でのサポートが必要不可欠と言えます。

 

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国土交通書「トラック運送業の現状」 より算出

 

運送業界のドライバーになる上でハードルの高さを感じている人が約6 割。苦労したことトップ3は「トラックが古い」「業務量が多い」「トラックが運転しにくい」
運送業界への新規参入に対する難しさを尋ねたところ、ハードルが高いと回答した人が63.3%で、新規参入時に苦労したこととして、「トラックが古かった(37.5%)」「業務量が多くて仕事が回らなかった28.0%)」「トラックが運転しにくかった(21.3%)」が上位となる結果になりました。 ドライバーになる上での苦労を減らすためには、労働環境の改善以外にも、車両の改善を含めたハード面での改善も必要なことが伺えます。

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残業規制によりトラックの乗り回しがより増えると想定される中、不慣れな車両を運転することに不安を感じているドライバーが約7割。85.0%のドライバーが誰でも運転しやすい車両を求めている
トラックについて、自分が不慣れな車両を運転することに不安を感じるか尋ねたところ、68.8 %のドライバーが不安を感じると回答し、85.0 %のドライバーが誰でも運転しやすいトラックが必要だと回答しました。既存のドライバーにとっても新規参入されるドライバーにとっても、新しく運転しやすいトラックの重要性が伺える結果となりました。

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調査結果を受けて
これらの調査から、業界における働き方改革に向けて、2023年現在でも「人手不足」にまつわる高年齢化・新規参入者への不安、「ドライバーの労働環境」にまつわる荷待ち時間 ・労働時間・給与、そしてトラック自体にまつわる乗り回しによる不安・古さ など 、複合的な課題が残っていることがわかりました。ドライバーの働き方に関して、「2024年問題」に直面する残り1年で今まで以上に業界全体で早急に取り組む必要があります。UDトラックスでは、誰一人取り残さない物流社会の実現に向け、ドライバーの方々がより安心安全に、そして誰でも乗りやすいトラックの開発を行ってまいります。

調査概要
調査名:トラック業界の働き方に関する意識 調査
調査時期:2023年3月2日~6日
調査対象:全国の25~69歳の男女400名
調査方法:インターネット調査
調査機関:シグナルリサーチ
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。