1950年代に入って、日本は戦後の混乱を脱し、新たな経済成長に備えて電源開発や道路・鉄道・港湾の整備、大規模プラントの開発などインフラづくりが活発になった。しかし、インフラづくりの原動力となる輸送力不足が大きな課題としてクローズアップされ、高馬力の大型トラックの需要が高まってきた。
当時、長距離輸送業界が求める200馬力クラスのエンジンをもつ大型トラックを生産する国内メーカーはなかった。こうしたニーズを踏まえて、1953年、当社は大型ディーゼルエンジンの自社開発に取り組んだ。当時の2サイクルエンジンは、騒音が大きく、背も高かった。そこで、ハイパワーな2サイクルエンジンの特徴を最大限に活かしつつ、単流掃気方式(エンジンシリンダーの下方に掃気ポートを設け、上方の頭上弁まで一方向に流れる方式)を採用することで、掃気効率の改善と、低騒音・小型軽量化の両立を図ることに成功した。
こうして、1955年1月に3気筒110馬力(UD3)と4気筒150馬力(UD4)の2種類の新ディーゼルエンジン「UDエンジン」を発表した。さらに、6月には6気筒230馬力のUD6を発表した。とりわけ、UD6は、1馬力あたりの重量が当社従来エンジンの4割減になり、当時、「世界で最も1馬力あたりの重量が軽いエンジン」として高く評価され、UDエンジンのブランドステータスを高めた。
1955年1月に発表されたUDエンジン。ハイパワーな2サイクルエンジンの特徴を最大限に活かしつつ、単流掃気方式を採用することで、掃気効率の改善と、低騒音・小型軽量化の両立を図ることに成功した。
国際ブランド「UD」
「UD」は、Uniflow scavenging Diesel engineの略。当時、いろいろなタイプのエンジンを開発していたので、ほかと区別するために設計図面に「UD」の判(コード名)を押していた。その後、UDエンジンを搭載したトラックには、高いエンジン性能をアピールするために車体に「UDマーク」が付けられた。このUDマークが当社における国際商標となり、現在の社名につながった。