初のキャブオーバー型大型トラック完成

初のキャブオーバー型大型トラック完成

当社は1960年に日産自動車の資本参加により、社名を日産ディーゼル工業へと変更した。同年、全日本自動車ショウに、当社初のキャブオーバー型8トン積み大型トラックTC80Gがデビューした。エンジンは、UD4・165馬力、個性あふれるキャブデザインもあって大きな注目を集めた。

日本では、東京-名古屋―大阪―神戸を結ぶ高速道路の建設が進んでおり、鉄道にかわって貨物輸送の主役となるために、輸送業界では長距離・高速走行に優れたトラックが求められていた。
キャブオーバー型は荷台を長くでき、大量の荷物が積めるが、エンジンの上にキャブを載せる構造なので、エンジンからの振動を抑え、長距離走行でもドライバーが疲れない居住性を確保する必要があった。

当社は、ボンネット型トラックT80で実証された耐久性の高いシャシーをベースに、キャブオーバー型トラックTC80Gを開発した。荷台は5mから6.3mに伸びたが、ホイールベースやエンジンの配置は変えず、小回りのきく運転操作性を維持した。

3人掛けのキャブは、振動を抑えたことはもちろん、フロントウインドウを大きくして視認性を高め、着色防熱ガラス、ベンチレーターなどの採用で居住性を高めている。メンテナンス面でも、エンジンの点検作業やオーバーホールを容易に行えるようにさまざまな工夫がなされた。

このTC80Gの成功により、1961年に6TWシリーズにもキャブオーバー型モデル6TW12Cを発売、1963年には新型キャブを搭載したTC80Gを発表した。その後、キャブオーバー型トラックが主流となり、長距離・大量輸送時代の主役を演じていった。