UD現場スピリット - 2019

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トラックが製品化され、お客様の手に届くまでには、商品開発、車両検査、生産管理、品質管理、販売などさまざまなスタッフが関わっています。UDトラックスがお客様から評価される企業であり続けるために、「その一歩先へ」挑戦する人たちについてシリーズでお届けします。


連載の第一弾として、秘匿情報に携わることが多いためその実態が秘密のベールに包まれているテストドライバーの皆さんの素顔に迫ってみたいと思います。

テストドライバーは、一般的には自動車やタイヤメーカーに所属し、車を運転してさまざまなデータを収集・分析し、商品分析や不具合の原因究明等に携わる職業です。「終わりなき究極の信頼」を確保するため、お客様視点を持ち、厳しい目で車両の実験・評価業務に取り組んでいる「プロフェッショナル集団」です。その素顔を知るため、上尾本社から車で約2時間、栃木県の山間にある茂木試験場を訪れました。

茂木試験場における車両の実験・評価業務のテストドライバーはPRD(元UDのテストドライバー)に委ねており、茂木試験場に従事するUDトラックスの従業員は23名と決して多くありません。この中に2018年1月から立ち上げられたUDトラックス自前のテストドライバーチームがあり、現在8名の方が働いています。
人材育成という観点から、今回取材に応じていただいたトレーナーの新井貞之さん、そして昨年から新たにテストドライバーとしてUDトラックスで働き始めた菅貴行さん、土田裕介さんに、テストドライバーとは、そして人材育成にかける想いを聞きました。

商品開発の要となるテストドライバーの役割
テストドライバーという職業は、常にお客様の目線で客観的に考えることを要求される一方で、研ぎ澄まされた自身の感覚も重要です。完成車だけでなく開発中の車にも乗りこみ、数十から数百に及ぶ項目の試験を行い、収集した膨大なデータを解析します。
インタビューした3名の中で最年長である新井さんは、75年にUDに入社、PRDを経て一旦定年退職された後、2018年再び現場に戻った熟練テストドライバーです。茂木のレジェンドとよばれている新井さんは現在、次代の「人材育成」のためのトレーナーとして活躍されています。

Q.仕事の魅力、難しさについて教えてください

新井さん(以下「新」):自身が培ったスキルや技能を通じ、お客様のための改善提案が受け入れられ、商品が発売されたときは嬉しいです。私は75年入社ですが、77年の中型コンドル2代目の仕事は今でもよく覚えています。ミッションレバーの操作性で、どの角度、どの位置、どういう形状のレバーがベストか議論と評価を繰り返しました。大変な作業ではありましたが、最終的にチームの意見が採用されたときの喜びは格別でした。

2018年に入社した菅さんと土田さんは、自動車業界で10年ほどの社会経験があります。

 

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菅さん(以下「菅」):完成車だけでなく開発途中の車にも携わるので、工夫や改善がされていく段階を見ることができるのはおもしろいです。また、自分が携わった車が世の中に出て、それに乗る人がいるというのは醍醐味でもあります。難しい点は、自分個人の考えではなく、常に変動している市場の動向やユーザーのニーズを掴み、それを製品に反映しなくてはいけないことです。

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土田さん(以下「土」):先日、初めてドライビングアセスメントを行いました。これはお客様の立場に立って自社と他社のトラックを比較し、細かい項目に沿って評価、採点するというものですが、これが難しかったですね。各車両の違いに区別はつくし点数はつけられるのですが、それが主観的ではなくお客様目線の評価になっているか、自問自答を繰り返しました。主観が求められる場面でも、自分の意見が通っていくことに責任とプレッシャーを感じました。

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100年に一度の変革期に備える人材育成

自動車業界が100年に一度の変革期にある中、人材育成を通じ組織を成長させるためには「変化を受け入れる」精神が大事です。

Q.新井さんに伺います。テストドライバー人材の育成についての考えを教えてください。
新:昨年はチームが発足して1年目だったので、車両の形状を理解することや車両整備、計測器を正しく安全に使うことなど広く業務全般を教えてきました。この1年で成長した点、足りない点、今後の課題などを評価表に沿ってリスト化していて、数年後にこういう資格が必要になるなど今後の計画が見えています。このチームはまだ始動したばかりなので、チームの体制も自分たちで整えていく必要があります。
車両評価の項目は、性能ごとに細かくリスト化されています。新しいものについては実践の前にまずその項目を座学でしっかりと学ぶようにしています。若い人たちは失敗を恐れず、いろいろなことにチャンレンジして欲しい。私たち年長者は、技能を伝承し、全力で成長をサポートしていきたいです。

Q. 菅さんと土田さんに伺います。テストドライバーとしてこれからの目標や抱負を教えてください。
菅:車を売るメーカーとして安全性は最重要課題です。その分野を担う重要な役割なので責任はとても重大です。これから自動運転技術の進歩に伴い、安全に対する新しい性能も入ってくるでしょう。車から情報を得るツールも変わり、新しい資格も必要になるかもしれません。変化に柔軟に対応できるように準備し、現場だけでなく座学もしっかりと学んで知識を増やしていきたいです。そしていつか自分が感じた事を反映させた商品が出るといいなと。

土:自動運転や電子制御などに興味がありますので、自発的に新しい分野ももっと勉強して、将来これは彼に聞けば間違いない、と言われるスペシャリストになりたいです。それに、UDトラックスは社員教育にも熱心で、外部の資格取得も積極的にトライさせてもらえるので、さまざまな資格も今後受けていきたいと思っています。

本質を見極め、その一歩先へ

Q. 最後に新井さんに伺います。次世代に伝えていきたいものはありますか?
新:お客様の目線で、見て触って乗って操作するのはもちろん重要ですが、好き勝手に走って感じる自分のフィーリング、感性も大事です。地道に繰り返していく中で感性が磨かれ自分が成長していくのが分かるので、ひたむきに続けてほしいです。また、くやしいと思うことはとても大事です。その思いを忘れずに、次へ繋げる原動力に変えていってほしいですね。若い人たちは自分たち世代とは違う新しい感覚をもっていて、気づかされることも多いです。そういう意見に耳を傾け、一緒によりよいチームを作っていきたいです。

自動運転など次世代運転技術開発が進化する中においても、テストドライバーが商品開発の場で担う役割は益々重要となります。UDトラックスの「自立性促進」「権限委譲」「能力開発」を尊重する文化が、100年に一度と言われる変革期においてお客様の期待に応えられる商品を提供することにつながっていきます。

今後、お客様へより良い商品をお届けするために全力で挑戦し続けている人たちをシリーズで紹介していきます。

当ニュースに関するお問い合わせ先
UDトラックス広報 
Info.udtrucks.japan@udtrucks.co.jp

【UDトラックスについて】
UDトラックスは世界60カ国以上で先進的な輸送ソリューションを提供する日本の商用車メーカーです。1935年の創業以来、「時世が求めるトラックとサービスを提供する」というビジョンを掲げ、革新的な技術の開発で業界をけん引してきました。より高い満足を求めるお客様のため、私たちは信頼性の高いソリューションにより、スマートロジスティクスの実現に向けて取り組んでいます。大型トラック「クオン(Quon)」「クエスター(Quester)」から中型トラック「コンドル(Condor)」「クローナー(Croner)」、小型トラック「カゼット(Kazet)」「クーザー(Kuzer)」までのフルラインアップ、そしてカスタマーサービスと販売金融により、世界各国の様々なお客様のニーズに対応しています。

UDトラックスは全世界に10万人の従業員を有するボルボ・グループの一員です。ボルボ・グループの2018年における売上高は3900億SEK(スウェーデン・クローナ)でした。