ESCOT

(Easy Safe Controlled Transmission)

電子制御式トランスミッションESCOTシリーズは、その第一世代から大型トラックの走行の負担軽減を目指した。シフトチェンジのストレスから解消され、ドライバーは路上から注意をそらすことなく、安全性を優先できるようになった。日常の走行で確実に実感できる点とは、全面的なコントロールによる快適な走行体験と、渋滞時やカーブの多い山道などあらゆる道路状況に対応した操作性が挙げられる。

ESCOT-Ⅱ

大型トラックのビッグサム・トラクターに搭載されたESCOT-Ⅱは、当時でも一般的でなかったオートマチックトランスミッションに対して、一歩先を行く技術と位置づけられていた。運転が簡単な、そしてより安全な大型トラックの操作に的が絞られたESCOT-Ⅱは、3ペダルとシフトレバーで構成される電子制御式トランスミッションである。完全に停止した状態からの発進時にのみ、クラッチ操作が要求される。ドライバーによるシフトチェンジが必要となるため正確にはオートマチックではないが、走行中の面倒なクラッチ操作は不要で、シフトレバーの前後シフトのみである。

当社の研究開発チームは、クラッチによるギア切り替えが必要なESCOT-Ⅰを開発していたが、クラッチを電子制御化したESCOT-Ⅱが一連の過酷な試験に合格し、十分な性能と信頼性が認められたため、商品として最初にリリースされた。

ESCOT-Ⅱは、優れた性能をもつESCOTシリーズの先陣を切った。従来のオートマチックトランスミッションと異なり、ESCOT搭載車は走行時のトルコン式ATのような滑りが起こらず、ドライバーは車両を完全にコントロールすることができる。ESCOTの特性とされる優れた信頼性と安心感も得られる。

ESCOT-Ⅲ


ESCOT-Ⅲは自動変速をさらに進化させた。クラッチ操作で車両を発進させた後は、オートマチックで、あるいはシーケンシャルシフターを使ってマニュアルでギアを切り替えることができる。1998年、ESCOTに省燃費という概念が加わり、最も効率的なトルクの範囲でエンジンを最適に活用するためにギア段が追加された。

ESCOT-AT Ⅳ


ESCOT-AT Ⅳは、初のフルオートマチック型のトランスミッションである。後退時以外は、クラッチ操作なしでアイドリング状態から加速できる。2004年、ESCOT-AT ⅣはESCOTとして初めて日本国外に輸出され、まず南アフリカで販売が開始された。2007年、軽積載用のスイッチが改良された。このモードでは、トラックが荷物を積載していない、あるいは積載量が少ない時に省燃費運転するため、通常よりも早いタイミングでシフトチェンジが起こるようにプログラミングされる

ESCOT-Ⅴ


ESCOT-Ⅴはさらに技術を発展させ、多くのイノベーションが加わった。完全な2ペダルで、オートマチックにも、マニュアル操作にも対応する。

ESCOT-ⅤではESCOTの特性とされてきた簡単な操作性と安全性がさらに強化され、ヒルスタートアシスト、ESCOTロール、オートクルーズコントロールなど、走行性能や燃費性能、安全性能を最大に高める革新的な機能が搭載された。

ギアシフトはコンピュータ制御のコンスタントメッシュ機構により、作動速度と円滑性がさらに改善され、多くの積載パターンに合わせて、また燃費の最適化に向けて、ギア切り替えのプログラミングが改良されている。

ESCOT-Ⅴは、海外モデルにも搭載されており、南アフリカ以外にもオセアニアと東南アジアに販売網を拡大している。

2014年のESCOT-Ⅴのアップグレードでは、ソフトウェアが改良され、省燃費走行をアシストするためのエコノミーE・Dモードが改良された。また急加速を制限し、燃費の良い緩やかな加速を可能にするアクセラレーションリミッターとソフトクルーズコントロール機能が追加された。

ESCOT-Ⅵ


ESCOT-Ⅵは、ESCOTの卓越した品質を継承しただけでなく、新たな進化を遂げた。

シフトレバーを一新、従来のH式からストレート式へ。より簡単で使いやすく。新機能フォアトラックは、GPSを用いて前方の道路状況を先読みする機能。道路の勾配に応じて、車速、エンジン回転数、補助ブレーキなどを自動制御。

これによりドライバーの負荷やストレスを軽減し、経験の浅いドライバーでも熟練ドライバーと同様に、スムーズで卓越した省燃費性能を得ることが可能になる。さらにエコモードがデフォルト設定されており、いつでも省燃費運転となるよう配慮されている。

また泥濘地からの脱出機能も付加し、クラッチの接続制御の最適化により、車両を前後に揺することで、雪道/泥濘地からの脱出性が向上した。